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ロシアの作曲家、セザール・キュイ(César Cui, ツェーザリ・アントーノヴィチ・キュイ, ツェーザリウス=ベニヤミヌス・キュイ, 1835.1.18-1918.3.26, ロシア帝国ヴィリニュス、現在のリトアニアの首都生まれ。当人自身がフランス語表記を用いていたのでフランス語読みが通例。)が没した日(1918年)。バラキレフ、ボロディン、ムソルグスキー 、リムスキー=コルサコフらとともにロシア五人組として、ロシアの独自音楽の発展に貢献した人物としても知られる。当時、キュイを筆頭に数人は軍職に就きながら作曲をしていたのだとか。キュイは交響曲は書かなかったが、オペラや歌曲、ピアノ曲などを多数作曲した。作曲家のリストは、キュイの作品を高く評価していたそう。
主要な作品には〈コーカサスの捕虜(カフカスの囚人)〉、〈大尉の娘〉などのオペラ、〈ながぐつをはいた猫〉などの子供オペラ、ピアノ小品、ヴァイオリンとピアノのための小品集、歌曲等がある。
キュイの作品はほとんどすべての楽種にまたがっているが交響曲や交響詩を残さなかったのは、バラキレフやボロディン、リムスキー=コルサコフとは対照的。しかし、キュイ作品で最も多くの数を占めているのは歌曲であり、いくつかの二重唱や数多くの童謡が含まれている。室内楽では弦楽四重奏曲を3曲、ピアノ曲『25の前奏曲』など素朴な作品もある。五人組の中では長寿に恵まれ、厖大な作品数を残した。規模の大きな合唱曲やいくつかの管弦楽曲を残したが、作曲家としての最大の野心はオペラに託していたようである。メルヒェン・オペラをはじめさまざまに規模の異なる15のオペラが残されている。

Portrait of Cesar Cui
| セザール・キュイの肖像、1890(Portrait of Cesar Cui, 1890) イリヤ・エフィモヴィチ・レーピン |
| 1890 · Öl auf Leinwand · 写実主義 · 肖像画 Tretyakov Gallery, Moscow, Russia / Bridgeman Images |
フランス系ロシアの作曲家、批評家。ロシア五人組の一人。少年期にはピアノや和声学、対位法のレッスンを受けたが、1851年にペテルブルグ工科学校に入学、1855年からは軍事技術アカデミーで学んだ。専門は築城学。
1856年にバラキレフと出会い、リムスキー=コルサコフらとともにサンクトペテルブルグの音楽界で活動する。バラキレフはキュイのオーケストレーションを「素人的」と考え、オペラなどの作品に積極的に関与した。
実践的な軍事教練の専門家として著名でありながら、余技で精力的に作曲活動を続けた。同時に、辛辣で攻撃的な音楽評論家としても活躍した。コラムニストとしても多産な作曲家だった。批評家としては自分の仲間以外の音楽を否定し、チャイコフスキーやアントン・ルビンシテインを嫌っていた。その弁は辛口でラフマニノフの《交響曲第1番》の初演を聴いた、キュイは「地獄の音楽学校のために作曲された、エジプトの十の災いを描いた音楽」と罵倒した。ラフマニノフはこの評価に精神的な痛手を受け、交響曲の楽譜を封印してしまうほどだった。このためロシア楽壇内で人望がなかったが、没年まで作曲を続けた。ロシア国内においても全集編纂の話はなく、出版された全作品がLyle Neffの手によって回収できたのは、20世紀末に入ってからである。
児童オペラのうち、ペロー原作の《長ぐつをはいたねこ》がドイツで幅広い人気を呼んできた。からか、わたしはキュイの名前はドイツ、フランスから東洋に視線を向けていた音楽家として意識に強くある。芸術歌曲の分野では、大多数がロシア語の詩に作曲されている。あからさまな民謡調への試みは、歌劇《大尉の娘》や童謡のほか、若干数の歌曲に見受けられる。しかしながら、ロシア文学を素材とすることに関心が薄いという印象。キュイ作品の数多くの楽句は、全音音階や和声法において、19世紀ロシア音楽の作曲様式上の好奇心を映し出してはいるものの、キュイの作風は、他の「五人組」に比べると、さほど民族主義的でない。グリンカやダルゴムイシスキー以降のロシア音楽の発展よりも、シューマンや同時代のフランス音楽に比すべきものである。
旧ソ連以外で知られているのは、もっぱらピアノ曲と、ヴァイオリン曲《オリエンタル》作品50-9、そしていくつかの歌曲に限られる。キュイの才能は、歌曲や器楽の小品に具現されているように、雰囲気を瞬間的に結晶することにあると言われている。他のロシアの作曲家に比べて管弦楽法は劣っていると言われてきたが、《黒死病の時代の饗宴》などの録音からすると、このような特色に関してキュイの舞台作品を追跡することは、むしろ面白いということがうかがわれる。
Orientale
Writer: Cesar Cui
Performer: Efrem Zimbalist; San Chotzinoff
No. 9, Kaleidoscope; Violin Solo; Pianoforte.
“More from the Mighty Five”
Mily BALAKIREV (1837-1910)
Rus’ (Russia) (1863-1864, rev. 1884)
Russian State Symphony Orchestra
Igor Golovchin, conducting
Cesar CUI (1835-1918)
Suite no.4, op. 40 ‘A Argenteau’ (1887)
CSR Symphony Orchestra, Bratislava
Robert Stankovsky, conducting
Alexander BORODIN (1833-1887)
Symphony no.1 in E Flat Major (1862-67)
Rotterdams Philharmonisch Orkest
Valery Gergiev, conducting
マイティー・ファイヴのメンバーで、築城の専門家。ロシアの作曲家について紐解くとキュイの名前はあちらこちらに出てくる。でも、キュイの音楽は?、、、となると。こども向けのメルヒェンオペラ「長靴を履いた猫」が人気作品というくらい。キュイの音楽の真髄は、シーンを瞬間凍結する技にあるようだ。チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の印象的な始まりが主部よりも長大な序奏であるように、昭和の歌謡曲は数秒聞けば誰もが歌えるイントロづくりにあったが、令和のヒット曲にイントロがないのに同じではないか。
